高齢化社会の深刻な現実:都道府県間の健康格差が30年間で拡大、寿命と健康寿命の乖離が加速

2025-04-22
高齢化社会の深刻な現実:都道府県間の健康格差が30年間で拡大、寿命と健康寿命の乖離が加速
読売新聞オンライン

日本社会は超高齢化を迎え、平均寿命は延びたものの、健康寿命との差が広がり続けています。この30年間のデータ分析が、都道府県間の健康格差の拡大という深刻な現実を浮き彫りにしました。慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュートの調査によると、地域によって健康状態に大きな違いがあり、その格差は年々拡大傾向にあります。

寿命と健康寿命の乖離

平均寿命が延びた一方で、健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)との差は、多くの都道府県で拡大しています。これは、高齢になっても病気や障害により、自立した生活を送ることが難しくなっていることを意味します。この乖離は、医療技術の進歩だけでは解決できない、生活習慣病や介護問題といった社会的な課題を示唆しています。

都道府県間の健康格差の拡大

47都道府県を比較したところ、地域によって健康状態に大きな差が見られました。特に、特定の疾患による死亡率の低下や健康指標の改善が鈍い地域では、健康格差が顕著に拡大しています。経済状況や生活習慣、医療資源の偏りなどが、こうした地域差を生み出していると考えられます。

増加する深刻な課題

調査では、認知症、糖尿病、肥満といった疾患の増加が顕著に示されています。これらの疾患は、個人の健康だけでなく、医療費の増大や介護サービスの需要増加にもつながり、社会全体に大きな負担をかけています。また、肥満による疾病負担の増加は、生活習慣の見直しや食育の推進といった対策の必要性を示唆しています。

今後の展望と対策

都道府県間の健康格差を解消するためには、地域の実情に合わせたきめ細やかな対策が必要です。医療体制の強化、健康増進プログラムの提供、生活習慣病予防のための啓発活動、介護サービスの充実などが求められます。また、地域住民の主体的な健康づくりを支援する取り組みも重要です。

この調査結果は、高齢化社会における健康課題の深刻さを改めて認識させ、持続可能な社会を築くために、国、自治体、医療機関、そして地域住民が一体となって取り組む必要性を示しています。

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