生活保護の子どもの入院率が深刻な実態 - 1年間の入院経験が約5% | 貧困と健康リスク
2025-06-12

京都大学
生活保護世帯の子どもの入院実態:深刻な健康リスクが浮き彫りに
日本国内の6自治体(市)を対象とした最新の研究により、生活保護を利用する子どもの入院実態と健康を損なうリスク因子について詳細な分析が行われました。医学研究科特定准教授の西岡大輔氏らの研究グループが、生活保護基本台帳データと医療扶助レセプトデータを活用し、生活保護利用世帯の子どものプロファイルを構築。その結果、衝撃的な事実が明らかになりました。
入院経験は約5%:乳幼児期に特にリスクが高い
分析の結果、生活保護利用世帯の子どものうち、なんと4.6%が1年間に入院を経験していることが判明しました。特に乳幼児期(0歳~6歳)の子どもたちは、入院リスクがさらに高く、より深刻な状況であることが示唆されています。これは、貧困が子どもの健康に与える影響の大きさを如実に表しています。
健康を損なうリスク因子とは?
研究グループは、入院と関連するリスク因子についても分析を行いました。その結果、以下の要因が子どもの入院リスクを高める可能性が示唆されました。
- 低出生体重: 低出生体重で生まれた子どもは、入院リスクが高い傾向にあります。
- 慢性疾患: 喘息やアレルギーなどの慢性疾患を持つ子どもは、頻繁な入院につながる可能性があります。
- 生活環境: 不衛生な環境や栄養不足なども、子どもの健康状態を悪化させ、入院リスクを高める要因となります。
- 親の健康状態: 親の精神的・肉体的な健康状態も、子どもの健康に影響を及ぼし、入院リスクに繋がる可能性があります。
今後の課題と展望
今回の研究結果は、生活保護世帯の子どもの健康問題に対する社会的な関心を高めるきっかけとなるでしょう。今後は、これらのリスク因子に対処するための具体的な支援策を講じることが重要です。例えば、以下のような施策が考えられます。
- 早期発見・早期介入: 乳幼児健診などを通じて、リスクの高い子どもを早期に発見し、適切な支援を提供すること。
- 生活支援の強化: 栄養指導や衛生環境の改善など、生活環境の改善を支援すること。
- 親へのサポート: 親の精神的な負担を軽減するための相談支援や育児支援を提供すること。
子どもの貧困と健康問題は、社会全体で取り組むべき重要な課題です。今回の研究結果を踏まえ、子どもたちが健やかに成長できる社会の実現を目指していく必要があります。