帰還高齢者の健康を守る:東日本大震災から11年半、双葉町の現状と医療の取り組み
2025-05-05

毎日新聞デジタル
東日本大震災から11年半、双葉町の帰還高齢者とその健康
東日本大震災から11年半が経過し、福島県双葉町では避難指示が解除された後、徐々に帰還する住民が増えています。特に高齢者の帰還が多く、1人暮らしの高齢者にとっては、新たな生活基盤を築きながら健康を維持することが大きな課題となっています。双葉町の現状:避難解除後の課題
2023年3月に避難指示が解除された双葉町では、生活インフラの整備や住宅の再建が進められていますが、依然として課題も多く残っています。高齢者の場合、体力的な衰えや持病など、健康面でのリスクも考慮する必要があります。福島県立医科大 佐藤美佳教授の取り組み
福島県立医科大学(福島市)の佐藤美佳教授(61)は、双葉町に住む帰還高齢者の健康状態をチェックするため、戸別訪問を実施しています。この取り組みは、高齢者の健康問題を早期に発見し、適切な医療や介護を提供することを目的としています。「高齢者の健康状態は、生活環境や精神的な状態とも密接に関わっています。定期的な訪問を通して、小さな変化も見逃さないように心がけています。」佐藤教授は語ります。
訪問では、血圧測定や健康相談に加え、生活状況や悩みなどを丁寧に聞き取ります。佐藤教授は、訪問で得られた情報を基に、必要に応じて医療機関や福祉サービスとの連携を図り、個々の高齢者に合ったサポートを提供しています。帰還高齢者の健康を守るために
帰還高齢者が安心して生活を送るためには、医療体制の強化だけでなく、地域社会とのつながりを深めることも重要です。双葉町では、地域のボランティア団体やNPO法人などが、高齢者の見守り活動や交流イベントなどを積極的に行っています。「高齢者の方々が地域に溶け込み、孤立しないように、地域全体で支えていくことが大切です。」佐藤教授は強調します。
東日本大震災からの復興は、まだ道半ばです。しかし、双葉町では、医療の専門家や地域住民の温かい支援を受けながら、少しずつ未来への道を切り開いています。