国民健康保険、3年連続赤字!1803億円の赤字要因と今後の対策とは?団塊世代の移行が影響
2025-08-25

産経ニュース
厚生労働省が発表した2023年度の国民健康保険(国保)の実質収支は、全国で1803億円もの赤字となりました。これは3年連続の赤字であり、前年度から736億円も増加しています。今回の赤字の主な要因は、団塊の世代の一部が後期高齢者医療制度へ移行したことによる、国保加入者の減少と保険料収入の減少です。
団塊世代の移行が大きな影響
団塊世代とは、1971年から1974年にかけて生まれた世代のことです。この世代が後期高齢者医療制度(75歳以上向けの医療保険制度)に移行することで、国保の加入者が減少し、保険料収入が減少しました。これは、国保の財源を支えてきた重要な部分であったため、大きな影響を与えています。
保険料納付率の向上と加入者数の減少
一方で、保険料の納付率は0.06ポイント上昇し、94.20%となりました。これは、保険料の徴収努力が実を結びつつあることを示しています。しかし、加入者数は104万人減の2309万人となり、加入者数の減少も深刻な問題です。
今後の課題と対策
今回の赤字を受けて、国保制度の持続可能性を確保するための対策が急務となっています。考えられる対策としては、以下のものが挙げられます。
- 保険料の見直し: 保険料の負担能力に応じた公平な制度設計が必要です。
- 医療費の抑制: 医療費の適正化や、予防医療の推進などが考えられます。
- 制度の効率化: 国保事務の効率化を図り、コスト削減を目指します。
- 後期高齢者医療制度との連携強化: 両制度間の連携を強化し、財源の調整を図ります。
国民生活への影響
国保の赤字が長引けば、保険料の値上げや給付水準の引き下げなど、国民生活への影響が懸念されます。今後は、国や自治体が連携し、持続可能な国保制度を構築するための取り組みを加速させていく必要があります。
まとめ
国民健康保険は、多くの自営業者や無職の方々にとって重要なセーフティネットです。今回の赤字は、団塊世代の移行という構造的な問題が背景にありますが、今後は対策を講じ、国民が安心して医療を受けられる制度を維持していくことが重要です。