【独自】国民健康保険、10年連続赤字!令和5年度は1803億円の巨額赤字に - 加入者減少が痛手

自営業者や個人事業主などが加入する「国民健康保険」の令和5年度決算が発表され、再び厳しい状況が浮き彫りになりました。加入者の減少に伴い、保険料収入が10年連続で前年度を下回る中、実質的な収支は1803億円もの赤字を計上しました。この状況は、今後の保険料改定や給付内容の見直しに大きな影響を与える可能性があります。
加入者減少の背景と保険料収入の低迷
国民健康保険の加入者数は、高齢化や都市部への人口集中、そして働き方の多様化など、様々な要因が複合的に絡み合い、長年にわたり減少傾向にあります。特に近年は、フリーランスやギグワーカーの増加など、国民健康保険の対象となる層の変化も影響していると考えられます。
保険料収入の低迷は、加入者数の減少に加えて、保険料率の引き上げ幅が限定的であることも大きな要因です。地方自治体は、住民負担の軽減を考慮し、保険料率の引き上げに慎重な姿勢を示しており、その結果、収入の減少を食い止めることができていません。
1803億円の赤字、その影響とは?
1803億円という巨額の赤字は、国民健康保険制度の持続可能性を揺るがす深刻な問題です。この赤字を補填するために、地方自治体は、地方交付税からの支援や、独自の財源確保策を講じる必要があります。
しかし、地方自治体の財政状況も厳しいことから、このままでは保険料の引き上げや、医療費の自己負担割合の引き上げ、さらには給付内容の縮小といった措置を余儀なくされる可能性も否定できません。特に、高齢者や低所得者層にとっては、生活に大きな影響を与えることになりかねません。
今後の展望:制度改革の必要性
国民健康保険制度の持続可能性を確保するためには、抜本的な制度改革が不可欠です。加入者数の減少に歯止めをかけるためには、国民健康保険のメリットを改めて訴求し、加入促進を図る必要があります。また、保険料収入の確保のためには、保険料率の適正化や、所得に応じた公平な負担を求める仕組みの導入も検討すべきです。
さらに、医療費の効率化や、予防医療の推進など、医療費全体を抑制するための取り組みも重要です。国民健康保険制度は、地域住民の健康を支える重要な基盤であり、その安定的な運営は、地域社会の活力維持にも不可欠です。関係各所が連携し、国民健康保険制度の持続可能性を確保するための具体的な対策を講じていく必要があります。
今後の動向から目が離せない状況です。