金融庁が、有価証券報告書（有報）の虚偽記載など、金融商品取引法違反に対する課徴金制度を大幅に見直すことを発表しました。今回の見直しでは、違反調査が開始された後であっても、企業が自主的に申告（いわゆる「自首」）することで、課徴金の減額が認められる特例措置が拡大されます。

なぜこの特例拡大なのか？

従来の課徴金制度では、違反が発覚した後で自主申告をしても、課徴金の減額効果は限定的でした。そのため、企業は違反を隠蔽しようとするインセンティブがあり、結果として早期の是正や再発防止が遅れるという問題がありました。今回の特例拡大は、企業の自主的な申告を促し、より迅速な問題解決と市場の信頼回復を目指すものです。

具体的にどのような変更点があるのか？

主な変更点は以下の通りです。

• 違反調査開始後（通常、証券取引等監視委員会による調査開始）の自主申告でも、課徴金の減額が認められる可能性
• 減額の程度は、申告の時期、内容の正確性、企業の再発防止策などを総合的に考慮して決定
• 自主申告のメリットを明確化することで、企業の積極的な申告を促す

企業はどのような対策を講じるべきか？

今回の制度変更は、企業にとって大きな影響を与える可能性があります。企業は、以下の点に注意し、適切な対策を講じる必要があります。

• 内部統制システムの強化：虚偽記載などのリスクを低減するため、会計処理や情報開示に関する内部統制システムを強化する
• 早期発見・早期申告体制の構築：違反が発生した場合、早期に発見し、金融庁に申告するための体制を整備する
• 専門家への相談：制度変更の内容や企業への影響について、弁護士や会計士などの専門家に相談する

今後の展望

金融庁は、今回の制度見直しを通じて、企業のコンプライアンス意識の向上と、市場の健全な発展を促進することを目指しています。企業は、変化する規制環境に対応し、適切なリスク管理体制を構築していくことが求められます。

詳細については、金融庁のウェブサイトをご確認ください。

金融庁 課徴金制度改正に関するお知らせ