金融業界の新たな課題解決へ：NICTの革新的プライバシー保護連合学習技術

情報通信研究機構（NICT）は、神戸大学、EAGLYS、そしてりそな銀行を含む国内主要4行と連携し、金融不正対策における画期的な実証実験を成功させました。その鍵となるのが、NICTが独自に開発したプライバシー保護連合学習技術「DeepProtect」です。

プライバシー保護と高度な分析の両立を実現

従来の不正検知システムでは、プライバシー保護の観点から、各金融機関が持つデータを共有することが難しく、高度な分析を行うことが困難でした。しかし、「DeepProtect」は、連合学習という技術を活用することで、各機関が自社のデータを持ちながら、AIモデルを共同で学習させることが可能になります。

これにより、個々の機関がデータを共有することなく、より高度な分析を行い、これまで見逃されていた不正口座の検出に成功しました。この技術は、金融機関のプライバシー保護を確保しつつ、不正検知の精度を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。

実証実験の成果と今後の展望

今回の実証実験では、りそな銀行を含む4行のデータを用いて、「DeepProtect」の有効性を検証しました。その結果、従来の方法では検出が難しかった不正口座の特定に成功し、その精度と有効性が実証されました。

NICTは、今回の成果を基に、さらなる技術開発を進め、金融機関への実用化を目指しています。これにより、金融業界全体のセキュリティレベルが向上し、顧客の資産を守るだけでなく、安心して金融サービスを利用できる社会の実現に貢献することが期待されます。

金融不正対策における「DeepProtect」の重要性

近年、巧妙化する不正取引の手口に対応するため、金融機関はより高度なセキュリティ対策を講じる必要に迫られています。「DeepProtect」は、プライバシー保護と高度な分析の両立を実現することで、金融不正対策における新たなソリューションとして注目されています。

NICTのこの取り組みは、金融業界におけるセキュリティ強化に貢献するだけでなく、プライバシー保護を重視する社会において、AI技術の活用方法を示す重要な事例となるでしょう。