食料問題、健康、気候変動… 冷凍技術が解決する未来:各国への提言

2025-06-26
食料問題、健康、気候変動… 冷凍技術が解決する未来:各国への提言
株式会社共同通信社

世界冷凍デーを記念して、International Institute of Refrigeration (IIR) が各国に対し、冷凍技術の重要性を改めて認識するよう呼びかけました。食料の安定供給、人々の健康、そして地球温暖化対策。実は、冷凍技術はこれらの課題解決に不可欠な役割を担っているのです。

食料の安定供給とフードロス削減

世界では、生産された食料の約3分の1が廃棄されています。これは、輸送、保管、流通の過程で失われる食料によるもので、深刻なフードロス問題を引き起こしています。冷凍技術は、食料を長期間保存し、品質を維持することで、フードロスを大幅に削減し、食料の安定供給に貢献します。特に発展途上国においては、適切な冷凍設備がないために食料が腐敗し、飢餓や栄養不良を引き起こすケースも少なくありません。冷凍技術の普及は、食料安全保障の強化に直結するのです。

健康と医療への貢献

医薬品やワクチン、臓器移植など、医療分野においても冷凍技術は欠かせません。特に、新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックにおいては、ワクチンの迅速な開発と安定的な供給が重要となりますが、ワクチンは低温環境下で保管・輸送する必要があるため、冷凍技術の重要性は際立ちます。また、血液製剤や細胞治療など、高度な医療技術においても冷凍技術は不可欠な要素となっています。

エネルギー効率の向上と気候変動対策

従来の冷凍技術は、多大なエネルギーを消費し、地球温暖化の原因となる冷媒を使用することが課題でした。しかし、近年では、よりエネルギー効率の高い冷凍技術や、地球温暖化係数の低い冷媒の開発が進んでいます。IIRは、これらの技術革新を推進し、持続可能な冷凍システムの導入を促進することで、エネルギー効率の向上と気候変動対策に貢献することを目指しています。

極低温技術と超低温利用の可能性

IIRは、極低温技術や超低温利用の可能性にも注目しています。例えば、極低温技術は、水素の液化や炭素回収など、エネルギー分野における革新的な技術開発に貢献する可能性があります。また、超低温利用は、食品の鮮度保持や医療分野における細胞保存など、幅広い分野での応用が期待されています。

IIRは、各国に対し、冷凍技術の重要性を認識し、冷凍技術の研究開発、技術移転、人材育成、そして持続可能な冷凍システムの導入を積極的に推進するよう呼びかけています。冷凍技術は、私たちの生活を豊かにし、地球の未来を守るための重要な鍵となるのです。

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