1950年代後半から1960年代前半にかけて、妊婦が服用した睡眠薬に含まれていた成分「サリドマイド」が、生まれた赤児に深刻な障害を引き起こした薬害サリドマイド事件から、今年で60年が経過します。この悲劇の爪痕は深く、多くの犠牲者とその家族に長年にわたり苦しみをもたらしてきました。

サリドマイドは、妊娠初期のつわりや不眠症の治療薬として広く使用されていましたが、その副作用として、四肢欠損、視覚障害、聴覚障害、精神発達遅延など、重篤な先天性障害が次々と明らかになりました。日本国内でも、多くの赤ちゃんがその影響を受け、その数は現在も正確には把握されていません。

長年にわたり、被害者とその家族は、国や製薬会社への損害賠償請求や、薬害に関する真相解明を求めて活動を続けてきました。しかし、その道のりは長く困難なものでした。過去の教訓を活かし、同じ悲劇を繰り返さないために、被害者団体は新たな一歩を踏み出しました。

今回設立された団体は、被害者の権利擁護、精神的なサポート、そして薬害サリドマイドに関する正しい知識の普及を目的としています。また、過去の事例を研究し、将来の医薬品開発における安全性の確保に向けた提言活動も積極的に行っていきます。

サリドマイド事件は、医薬品の安全性に対する厳格な審査体制の必要性、そして製薬企業の社会的責任を改めて問い直す出来事でした。60年の時を経て、私たちはこの事件から何を学び、どのように未来へつなげていくべきでしょうか。

被害者たちの声に耳を傾け、真実を追求し、そして二度とこのような悲劇を繰り返さないために、私たちは共に歩み続ける必要があります。この団体の設立を機に、薬害サリドマイド問題に対する社会的な関心を高め、被害者とその家族への支援を強化していくことが求められます。

この団体への支援を通じて、私たちは過去の過ちから学び、より安全で安心な社会を築き上げていくことができるでしょう。