国民スポーツ大会、存続の危機?地方知事の廃止提案に揺れる意義と課題

2025-07-27
国民スポーツ大会、存続の危機?地方知事の廃止提案に揺れる意義と課題
産経ニュース

かつて「国民体育大会(国体)」として親しまれ、戦後のスポーツ振興に大きく貢献してきた国民スポーツ大会(国スポ)。しかし、名称変更後、開催自治体の負担増、都市部と地方の格差拡大、そして地方知事による廃止提案など、その存続が危ぶまれています。スポーツジャーナリストの増田明美氏に、国スポの現状と課題、そして今後のあり方について、詳しく伺いました。

国スポの歴史と現状:負担増と格差が課題に

戦後の昭和21年、国民の健康増進と地方のスポーツ振興を目的として始まった国体は、2002年に「国民スポーツ大会」へと名称変更されました。しかし、大会の規模拡大と運営費の増大により、開催自治体の負担は年々重くなっています。特に地方自治体にとっては、財政的な負担が大きく、都市部と地方の人口格差が広がる中で、国スポの開催は経済的な重荷となっているのが現状です。

近年では、地方知事の中から国スポの廃止を訴える声も出ており、大会の意義や価値が見直される必要性が高まっています。大会の目的である「スポーツ振興」が、地方においては逆効果になっている側面もあるのかもしれません。

増田明美氏が語る、国スポの意義と課題

スポーツジャーナリストの増田明美氏は、国スポの意義について、「国民スポーツ大会は、アマチュアアスリートにとって、国内最高峰の舞台であり、自己ベスト更新や将来のオリンピック、パラリンピックへの道を開く重要な大会である」と指摘します。

しかし同時に、「開催自治体の負担が大きすぎることは事実であり、地方自治体にとっては、経済的な負担だけでなく、人的資源の確保も困難になっている」と課題を指摘します。また、「都市部と地方の格差が広がる中で、国スポの開催が地方のスポーツ振興に貢献しているのか、改めて検証する必要がある」と述べています。

今後の国スポ:改革の方向性とは?

国スポの存続を考える上で、改革は不可欠です。増田氏は、「まずは、開催自治体の負担を軽減するための対策を講じる必要がある。例えば、大会の規模を縮小したり、運営費の国庫負担を増やしたりするなどの方法が考えられる」と提案します。

さらに、「地方のスポーツ振興に貢献するため、大会のプログラムを工夫したり、地域住民が参加できるイベントを増やしたりすることも重要だ」と強調します。また、「アスリートの意見を積極的に取り入れ、大会の魅力を高めることも必要不可欠だ」と述べています。

国スポの改革は、単なる大会の運営方法の改善にとどまらず、日本のスポーツの未来を左右する重要な課題です。関係各所が協力し、国スポの意義を再確認し、持続可能な大会へと生まれ変わらせることが求められています。

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